本田八夏

MagicBar 猪虎亭 マスターのブログ

『手品の名前 その大切さ』

 

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私は大の落語ファンです。

落語から多くのことを学び、素晴らしいものを授かりました。
興味を持って本当に良かったと思います。

記憶がさだかではないのですが30年前、桂枝雀さんが私の勤めるお店に来られ手品をお見せしました。
このことは心の宝としていつも喜びに感じています。

桂米朝さんの追悼番組を見ました。

その中でこんなやりとり。。

《米朝師匠が一番気に入ってた演目は何だと思いますか?》

するとコメンテーターが

鹿政談、百年目、立ち切れ線香、、、などと答えます。

司会の方がそれを聞いて本筋の間にちょこっとこう言います。

『落語をご存知ない方には、わからないかもしれませんが、こういう題名を聞いて(ゲストの方々がこりゃ面白いと言うの聞いて)、
落語一度聴いてみたいと興味を持たれるのではないでしょうか。持たれる方もおられると思います。』



私はこの言葉にすごく深い思いが巡りました。この言葉により司会の方が本当に落語を愛されてるのだと察知するのは容易です。

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以前、弟子二人 (ハッチ、吉備八丸 )との会話で 

『これは ジェフマックブライドの手品なんだ。初めて見たときはショックで死にそうなったわ(*゚▽゚*)』

と言うと、弟子はジェフマックブライドを知らないと言います。

手品やってるのにマックブライドを知らんのか! マジで!? (◎o◎)! 

びっくりです。
マイケルクロース、島田晴夫、、、を知らないと言います。

ですが、びっくり×100 くらいのあとにすぐ、 あ~そうなんだなー時代なんだなーと少し淋しい気持ちになりました。

うちの弟子も、手品教室に来た生徒さんも声を揃えて

『テレビの前田知洋さんを見て手品にはまった。』 と言います。

本当に時代なんですね。

前田さんの素晴らしい演技に惚れて手品の道を志したのなら、
更にそこから脱却・派生を試みて初めて前田さんをリスペクトしている。そしてマジシャンへの道を目指せる。と、弟子に偉そうに言ってしまいます。

でもそう言えば同じように
私もマリックさんの影響を受けました。平成元年頃だったと思うので私24歳、弟子たちと同年代。

《ハンドパワー》 《きてます!》 なんてしょっちゅう言ったものだし、アートオブノイズのこれも CD探しに行ったものです。

https://www.youtube.com/watch?v=JJrSTAv0-tw


がしかし、、、、です。

そこからのめり込むに連れて、新しいことはもちろんですが古い本も読むし文献に興味がでました。
何よりシオミ先生や深井先生の古い話、交友録、海外・日本のマジシャンのお話は本当に好きで、影響を受け興味が膨らむ最大のファクターであったことは間違いありません。


"エルムズレイカウント"

なんて初めは人の名前だとも思わなかったですもの。
それが人名だと知ったときは、すごい人がいるものだな~と思ってその人の他の技術にも興味が出て調べました。

アッシャーツイスト とか テンカイパーム とか、、、

めちゃめちゃそそりますよね。

名前・タイトル・考案者・歴史 て凄く大切だなと思います。

タイトルがついてる イコール 歴史があるのですよね。

教えている時に、
『何という手品か忘れたけど、昔からある技法だよ。』 なんて言ってしまうことがちょくちょくあります。
いや~恥ずかしいです。きちんと名前を知っていて教えてあげれば弟子ももっと興味がわいただろうに。
そういう時、つくづく勉強しといたらよかったな~と反省します。


手品師の気質にある最たるものって、
《知りたい欲求、解明したい探究心》 ではないでしょうか。

種だけ知って あっそうと思うレベルとは全く違う。
とても素敵で知的なものだと思います。

それが何なのかを追求する努力するプロセスの中で良いアイディアや新技が生まれたりするのならば、
オリジナルを開発したければしたいほど、
古くからある技法、ひいてはタイトルに興味を持って取り組むことが良い道の一つであると私は考えます。

言い換えれば 良い技を開発すれば自分の名前が付く可能性もあるわけですものね。

名前ばっかり並べ立てて知識自慢する"敬意"を勘違いしたマジシャンもいますし、まったく名前に興味がない人もいます。
悪いとは言えませんが、想像力を形にして表現する芸能なのですから、
"無機質・機械的" な人間の演じる手品など誰も見たくはならないでしょう。


何気ない自分の手品にも自らが名前をつけて演じるようにすれば、もともとあった名前や歴史にはさらなる意識が発生するかもしれません。

タイトルから想像力を膨らます。 名前に興味を持つ。

ふと見た番組内での司会者さんの一言に大変感銘を受けた私でした。