本田八夏

MagicBar 猪虎亭 マスターのブログ

手品仲間が種明かしについて聞いてきた。

後輩マジシャンが来てくれました。

彼は真剣な眼差しで僕にこう言います。

『テレビで○○というマジシャンが種明かしをしていた。本田さんどう思いますか!腹立ちませんか!!!』

う~ん>< これについては難しい。
答えは一瞬で出たが、その答えを彼にどう伝えたらいいかがかなり難しい。
彼は僕に 腹たって欲しい と考えているのだから答え方が難しい。

僕の心の答えは、 "腹立たない" です。

だから伝え方に悩む。
その番組を見ていないし、何とも言えないし、そのマジシャンのことも知らない。
知らないことだらけ。なのにそいつに腹が立つかと言われても腹立たない。

"種明かし"
これ自体は、手品師をやってれば嫌でもぶつかるテーマなので僕も真剣に捉えている。

まずプロセスの問題だと思う。
なぜ種明かししたのか。
どういう種をばらしたのか。自分の作品なのか。

僕は正直こう思っている部分があります。

《ひょっとしたその人たちって必要悪なんじゃないかと。》

手品っていう芸術・芸能を伝えようとしたら絶対種はどっかでばらさないといけないわけで、ばらすこと自体が絶対悪なら、手品という文化はもう何百年も前に終わってるはずです。
だから なぜ という理由がとっても大切になってくるのだと思います。

聞けばその手品師は売ってる商品の種もばらしてたと言います。
一般の方からすれば、買えば種がわかるのならTVでばらしても同じだろうと考える方がおられるかもしれませんが、ここが大違い。

あそこの店の焼肉のたれめちゃめちゃ美味しいで食べに行こ^^ 
病みつきになりそこでバイトしだす。タレのレシピがわかる。それをネットで公表する。

あかんでしょ!そんなことしたら!店にしたら迷惑千万。泥棒とおんなじですよ。


そういうことなのではないですか。
何の権利があって人様が商売にしてる秘密を横からかっさらってチンコロするのか!
考案された方への配慮、敬意、保護これらがあってマナーや秩序の中で 種や技の継承も立派にできるだろうにと強く思います。

僕自身も不用意に種明かしして痛い目にあったことは何度かあります。注意しなければなりません。

ただ、ここまで読んでくださって、なんとなく僕の心中が分かってくれた方もおられませんか?
結局いちいち腹は立たないけど、そのマジシャンのやり方には反対だということです。
必要悪と言ったのは、ひょっとしたらその方のされたことが反感を買う以上に手品ファンを増やしてくれたかもしれません。

ね。どう言うたら良いのでしょ、、、
種を教えるのではなく技術を教えて面白い番組作りってできないものですかね。
例えば、手相見てあげると言って見てることに集中させたら かぶってる帽子をいつのまにかとられちゃうとか、
素晴らしいトランプの混ぜ方とか。。。。

とにかくなんにせよ僕の意見はそういった生ぬるい事でしたが、マジシャンの方それぞれ厳しい意見があると思います。
ただ、もし種明かしされた方が仁義もへったくれもない方なのなら、きっとえらい目に会いますよ。

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■余談
3年前ですがこういうことを日記にしました。


●1番目  《継承と発展のため》

種を明かすのと手品を教えるのとではまったく違う!!

ある35歳のマジシャンに一つの手品を教えました。
『どうしても覚えたい!是非演技してみたい!』 と熱く好意をもって頼まれたからです。

彼はうまく演じきれず、半ば逆切れして自分のお客様にその種を教えてしまいました。

種自体はうけるものだから次の日もお客様に教えてしまいました。
私はその彼に対して 『あさはかだ』 『馬鹿だ』 『無責任だ』 『無学だ』などとは思いませんでした。

ではどう思ったかと言うと  『不義理』 だと思いました。
不義理な奴はそのうちえらい目に会うと思いました。

その不義理が誰に対してかということです。僕にか?マジック業界にか?
もしマジック業界になら、種明かしを先にした僕も不義理、僕にそれを教えた先輩も不義理。
そんなこと言い出したらきりがありません。

線を引く倫理観、線引きの位置を決められる修練や学習、知識と人間関係を持って欲しいと言ってるのです。




●2番目  《例え》

テンヨーは種明かし売ってるじゃないか!とか、あの大マジシャンもTVで種明かししてるじゃないか!とか
そんな大きな存在を引き合いに出して自分の意見を正当化しようとする例の出し方は極力控えようと思います。
ましてや大マジシャンとも知り合いじゃないし、テンヨーのこともよく知りません。
そんな大きな規模でなく、自分自身の周りで起こっている小船の問題から解決したいからです。

種明かしというのは激しく議論され、過去もめごとや裁判にまでなったこともあります。

それほど重要でそれでいてデリケートな存在だから大事に貴重に扱わなくてはいけません。

今回の例えはなるべく自分の経験やオリジナルで語りたいと思います。
※部分的に言葉などを引用させていただいた先輩マジシャンに敬意を表します。


例え① お化け屋敷

『○○にあるお化け屋敷は、入ってすぐに大声で出てくる奴は中村ひろし君 21歳^^ぬらりひょんの扮装。学生さんで根はいい奴。 赤い幕を抜けて次に噴水から出てくる奴は山下君。河童の着ぐるみで一番苦しいけどもう2年やってる。
最後のろくろ首は胴体の部分が実は男で上坂君^^何にでも熱心なこのパークの社員さん。』


とか言われたら腹立ちませんか? 入る気なくなるし完全な種明かし!!むしろ営業妨害だ。

パークを首になった社員が腹いせにネットに書き込んだものです。賠償問題にまで発展してこの男はえらい目にあってます。

ところが世の中は同じ意見のひとばかりでなく、
『そのほうが親しみわくし入りやすい。』 と言う意見もありました。反対者からしたらこの意見にすら腹が立つものです。

ここでひとつ大きな問題があります。
実はパークの人もれっきとした種明かしをしているのです。

『生身の人間が演じる恐怖屋敷!』

と宣伝で言っています。 
中村君!て言うのとどうちゃうんかな~と思いませんか?
中村だ!とばらすのは絶対許さないが、生の人間はOK!

ハー??生きてる人間言うたら怖さ半減やろ!と思いそうですよね。

でも、これぞまさしく線引きなのだと思います。

ミッキーマウスの中に入ってるのはとんでもない悪人かもしれない。でもそんなことは想像しない。
この想像という万人皆違う力と価値観をどう尊ぶかなのだと考えています。



●3番目  《継承と発展 VS 無秩序》

私は以前、若い人たちにコンテストに出たらどうだ!という日記を書きました。
コンテストというのは本当に良いと思います。

社会に出たら何でもかんでもルールや制限に追われます。
納期もそのひとつで、現場の方は設計図にしても施工にしても○月○日まで!!
お医者さんにしたって タミフルは発生○時間以内に!というような制限や条件に縛られ戦いそれらを責任感を持ってクリヤーして社会人をまっとうしています。
それが社会人、大人の定めです。

少し偏見で意地悪ですが、手品師くらいなものですよ。
のんきにカードちょろちょろ練習して自分の得意なマジックばっかり無期限で放出してるのは。
他に職業持ってて納期の大切さをわかってるマジック愛好家やアマチュアマジシャンの方はちゃんと自分のルーティーンを責任もって組んではる人多いです。
コンテストに出ることによって納期に追われ、自分の手品を完成に向かわせるというのは自分に厳しく出来る良い機会でもありますし新たな発見や出会いがあっていいことづくめです。


ところが僕は、知り合いが出場したコンテストの審査員Aさんと大喧嘩をしたことがあります。
原因は、後日の飲み会の席で私が審査の仕方に意見を言ったら
『本田さんは何もわかってない』 と言われ、むきになって言い合いになりました。

僕は以前からAさんの人を見下したものの言い方や俺が審査してやるという態度が嫌いでした。

ある小さなコンテストが終了した後、その審査員Aさんはコンテストに出ていた8人全員の演目をことこまかに名前入りでネットにのせました。
リングがつながってはずれそこにロープがつながりロープを丸めてボールの出現、、、、ここがいけないあそこがミスというふうに。

私はこう言いました。
『そのネタで商売しておられる方もいるのに後日のネタばらしは非常識なのでは? そのマジシャンのファンが見たら引いてしまうのでは?』

するとAさんはここで
『本田さんはなにもわかっていない!』 が炸裂!

『そうすると、優勝しても誰にも言わずこっそり本人にだけ優勝を告げるのか?コンテストに出るリスクはある。負ければ負けなのだ!勝ったことだけを表にだして負けたことを言わないなんて都合のいい話だ!』
と続けました。


『Aさんのやり方はみせしめだ!エンターテイメントにしてやろうという思いやりや気概をもったコメントじゃない。 自分の力を強く見せたいだけの虚栄心だ!
私は後日にネットで公表したことをおこってるんじゃない!演者たちの許可をとっているのか?それとも最初から審査員には後日に演目をさらす権利がある!と告知してコンテスタントを集めたのか?
お金を払ってコンテストに出てるのに、そのコンテストの審査員であれど何の権利があって偉そうに後日になって他の手品師の半ネタばらしをするのですか!あなたも 一マジシャンでしょ!』


このあと真剣にかなり話しました。
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私、本田八夏はすごく現場主義です。

ライブの良さはライブでしか味わえないのではないでしょうか。
ライブビデオ見て 生より迫力あった。なんてことも少ないと思います。

一人のコンテスタントにったった一人の審査員であってもライブでしょう。
生を満喫した後にどんな素晴らしいレビューを聞いても絶対最高の現場表現にはならないと思います。
ライブを伝えたいという気持ちと流出させたいということの違い。
わざわざ生を見に来てくださった方への気持ちに応えようとする熱い演者や関係者が審査員になってほしいと思います。


後日レビューを発信することは、その人たちのためにもなるし決して悪いことじゃないと考えています。
映画のような世界が認めるエンターテイメントにはレビューがついてまわります。
ということはレビューをうけたマジシャンはエンターティナーということになる???
ですがレビューは  《はずれなので1800円は高いですよ。》 という判断の基準にもなりえます。

レビューを書く人がいろんな位置づけで経験と実力があり、コンテスタントの事と将来を思い未来のためにレビューを残す。
残したことによって誰かから苦情がくる覚悟すらしている。
そんな熱い男気の審査員を私は知っています。
そういった人物で手品のことを愛してる方の評であればぜひともコメント欲しいと思うこともあるはず。
レビューとそしてその先を考慮していない無責任なネット公表など自分の立場を誇示したいがためのエゴイズムと悪質な種明かしでしかないと思っています。

これこそまさしく 線引きじゃないでしょうか。
始めからろくでもない審査員とわかっているのならその競争に出なければいいし
厳しく暖かく迎える審査員、必ず自分のためになる!と判断した競争であれば、後で酷評されてもそれは良い方向にだけとっておけばいいと思います。

あれから何年かたちますが、Aさんは今頃 僕が何に対して怒っていたかをきっとわかってくれたと思います。
僕もAさんの言ってることがかなりわかってきたように。




●4番目  《種明かし》


『種明かしをする人には、その人たちに種明かしをしなければならない理由がある。』
と言った有名マジシャンがいます。

前後無く 一部分の抜粋なので核心は伝えきれませんが、この方の種明かしに対する考え方に良い悪い含め大変なショックと感銘を受けたのを覚えています。


私、本田八夏はデパートの手品教室の仕事を請け負ったことがあります。
不特定多数の方が参加できます。
全力・必死でこの仕事にあたるのですが、胃は、きりきりなっています><

お金を払って手品DVDを買ってそれを学ぶのは  
A種 種明かし
何のリスクもしょわず意味なくばら撒く種明かしを  
B種 種明かし 
とすると、 この仕事はどちらの種類にはいるのかという線引きが 胃がきりきりなる理由です。

この仕事によって収入を得て生活の支えにしています。
ですが手品の種をばらまいてはいけません!

お客さんたちは志しあって 手品教室の広告見て興味を持ち席についてくれます。
中には1時間前から席をとる人もいるし、手品道具を持ってくる人もおられます。
ところがまわりでうろちょろして種だけ見て帰ってしまう人もいます。
囲いや完全な部屋での申込者だけのイベントとすればかっこもつくし、
私も種ばらまき悪者ではなくなります。
ですがデパート側はそれでは納得しません。イベント性を持たせて より多くの人に来てもらい、デパートの売り上げをあげようとしています。
その気持ちや趣旨に応えたいし、またそれが私の仕事です。
ましてや販促の材料として歌手や漫才でなく マジックを選んでいただけてることに感謝しています。

この仕事を断れば万事丸くおさまる、、、、、、、、、、といったものでもありません。


ここで考えるのが 『何を教えるか』という線引きです。
本教室で手品を習ったことにより興味を持ち手品ファン、はたまたプロ!なんてことになってくれたらどれだけ光栄でなんと手品業界に貢献したことでしょう。

例えば
左手の親指の付け根に右手の親指をくっつけてずらしたように見せる。
という手品を教えたいのですがどうでしょうか? と、手品協会とかの偉いさんに相談したらきっと 自分で考えて!と言われると思います。 ましてやそんなことを教わりにくる人がいるかどうか。
それでもです!どんなレベルの手品でも
この手品ならいいだろうと自分の倫理観で考えて良しと思っても、
それを出し物にして商売にしているプロの方にとっては大迷惑。

ということは結論。。。。
種明かししてよいマジックは無い!

ですが僕は生活のために線を引きます。
こういうことになった時に相談できる仲間や先輩を持ち、つながりを大切にして、先人の意見に耳をかたむけようと思います。

ミッキーマウスの中は 田中だ!というのではなく、
人が入って演じているのだよ夢をもって。 という ミッキーマウスにいきつくとこまでの常識や基本。魔法で動いてるのではないとわかっているうえでの魔法という言葉の楽しみ方。

私は 自分を美しく見せる方法の中で、すぐに
有名人と知り合いだとか、バックに凄いのがいるとか、画策して人を醜い醜いと言いふらし自分を綺麗と言う手法の人をあさましいと思っています。美的センスのかけらもない。

発展や伝承を考えず愛さず
●悪意・ねたみ・金儲け・密告・自己満足・快楽・虚栄心
これらの中の複数が確実に感じられる種明かしは罰せられる線引きの対象になると考えています。